『軌跡に花束を』制作裏話:自分らしくない歌詞、想定外の動画、そして迷走した音楽スタイル
普段、私の作る歌詞はどこか捻くれていたり、本心を隠すためにわざとミスリードを誘ったり、難解な言葉を選んだりすることが多いのですが、今回は意識的に「負のフレーズ」を避けて書くことに挑戦してみました。
その結果、出来上がった歌詞は自分でも驚くほどストレートで、とても優しい内容に。「あれ、私こういう歌詞も書けるんだ…?」と新鮮な気持ちになりました。 とはいえ、私の「本心をそのまま見せたくない」という性分は健在です。英語詞の部分は、日本語訳と動画の表現で少し意味合いが変わるように意図していたり…(まあ、単純なミスの時もありますが!)その辺りの解釈は、聴いてくださる方それぞれにお任せしたいと思っています。
今回は動画部分にプロットを用意していて、ショートストーリーを構想していました。しかし、意図通りになるまでの画像生成と動画生成の労力が半端なかったこと、主人公の服装の関係で、最後に入れようと思っていたシーンが、国によっては文化的な問題があり、日本でも少し微妙な印象を与えかねないと判断し、ラストシーンを急遽変更せざるを得ませんでした。結果として、最初に構想していたプロットとは少し違う、ある意味で意図を完全には伝えきれていない動画になってしまいました。出だしの雰囲気なんて、まるで結婚式みたいですしね(笑)
実際にそうしようかと、シーンを作っていたりします。
でもそれをすると、安直すぎますし曲の本当の意味の方とずれてくるのでやっぱりやめました。
制作過程について
今作は紆余曲折あり、完成まで一か月という期間が開きました。当初は曲よりも先に動画部分をViduでアニメーション化しようと決めていましたが、最終的には最近の曲と同じDNAを持つ、いつもの雰囲気の曲に落ち着いています。
最近、XなどでViduを駆使して素晴らしい映像を作られている方々を目にして、「AIの進化すごい!」と感動していたのですが、実際に自分でやってみると、その方々の知識や技術、そしてAIの性能を最大限に引き出す能力がいかに高いかを痛感しました。私もそのレベルに到達したい…! 動画生成AIは、本当に使い手次第で差が出ますね。
ところで今回の曲はSunoでのスタイル指定を以下のもので作り始めていたのですが…
Atmospheric, Melodic, Speed Metal, Epic, BPM-180, Fast tempo, High energy tempo, Epic orchestra, Dynamic changes, Whispering female vocals
あれ?(._.)
そう、当初目指していたのは、BPM180の疾走感あふれるメロディックスピードメタル、それも壮大なオーケストラが入ったシンフォニック寄りのスタイルだったんです!以前投稿した「【Racing Through Twilight】」のような方向性をイメージしていました。もともとスラッシュメタルをやる予定からの変更でしたし!
…ところが、前作「扉のメビウス」からシューゲイザー要素を少し抜いたような、しっとりとした雰囲気の、いつもの私のスタイルに近い曲調に。

一度coverでボーカルを直していますが、その時にテンポを上げさせようと試みています。しかし無視されていますね。ここまでスタイルを無視されたのは初めてです(笑)
ちなみに姉妹曲はしっかりメロスピっています。
なんでこうなったのかは謎ですが、異端者は大好きなので採用しました!
おまけ。
結局この通りにしなかったですが、動画のプロットのためのショートストーリー
MVって曲の歌詞まんまの映像じゃないというのが自分の考えなので、これもそうなっています。
春の光が古い聖堂の高い窓から差し込み、エマの長い金髪を黄金色に染め上げていた。
彼女は白い花の冠をかぶり、流れるような白いドレスを身にまとっていた。
手には、かつて彼女を縛っていた鎖を握りしめている。
今日、エマは最後の別れを告げるために来たのだ。
「ここに来るのは最後になる」と彼女は囁いた。
声が聖堂内で小さく響く。
五年前、エマはこの場所で彼女の全てだった人を失った。
師であり、保護者であり、エマが望む全てを与えてくれた女性だった。
彼女の死後、エマはこの聖堂に毎日のように訪れ、失った時間を取り戻そうと過去に囚われていた。
鎖は象徴だった。
目に見えない鎖で、エマは過去、悲しみ、そして「もしあの時」という後悔に縛られてきた。
「先生」とエマは静かに言った。
「あなたが教えてくれたことを、やっと理解できた。人生は前に進むもの。そして記憶は鎖ではなく、翼になれるってこと」
白い鳩が一羽、窓から飛び込んできて、エマの近くを旋回した。
彼女は微笑み、手の中の鎖をゆっくりと床に置いた。
「あなたがいつも好きだった花を持ってきたの」と彼女は言い、白いバラの花束を取り出した。
「あなたの教えは、いつも私の中にあるから。だから、もう毎日ここに来る必要はないの」
エマは花を置き、深呼吸をした。
この五年間、彼女はこの聖堂と悲しみの中に自分を閉じ込めていた。
しかし今日、彼女は自分自身を解放する決意をした。
「永遠にありがとう」彼女の言葉は、聖堂の隅々まで響いた。
エマが出口へと歩き始めると、彼女の足跡の後ろに花びらが舞い落ちた。
彼女が聖堂を出る頃には、春の風が彼女を優しく包み込んだ。
遠くで鐘の音が鳴り、新しい始まりを告げていた。エマは最後に振り返り、微笑んだ。
「さようなら。そして、いつもありがとう」
彼女は前を向き、新しい道を歩き始めた。
鎖から解放され、記憶を大切な贈り物として胸に抱きながら。

After Hours Sync